第二回
音 × 生命
私たちはヴァイオリンを見たとき、様々な文脈を通して判断します。
ストラディヴァリ・ガルネリという存在、大きい(あるいは名器のような)音が鳴る、仕上がりが細部まで丁寧、有名な楽器・製作者・プレイヤー使用歴、資産性がある、など。
このフレームは長い歴史をかけて構築されてきました。
しかし、その価値は何によって成立しているのでしょうか。名前なのか、見た目なのか。それとも音なのか。
本展は、その問いを四つのセクションで構成します。
・Silence(沈黙)
ヴァイオリンという存在をゼロから見つめ直します。先に述べたような、私たちが楽器に対して無意識に所有するフレームワークを抱えたまま、まず入口、暗い空間の中のスポットライトが当たる部分に立ってみてください。
・Percept(知覚)
展示されている製作途中の材の手触り、削りかすの匂い、ニスが持つ樹脂の匂い、空間が持つ空気と触れる瞬間から、人間が持つ知覚とは何かを感じてみてください。
・Vibration(振動)
このセクションでは、神経美学研究者・石津智大氏(関西大学)の協力のもと、音と知覚に関する研究もご紹介します。
西洋の構造美と、東洋の自然美——崇高さ。私たちの脳は、これらをそれぞれ異なる場所で処理しています。美しいと感じる瞬間と崇高さに圧倒される瞬間は、脳の中で別々の反応として起きているのです。
工芸と科学、二つの視点から「振動が美として知覚される瞬間」に迫ります。
・Resonance(共鳴)
私たち生命体が美しいとされる音を受けとるとき、何に依存するのでしょうか。
目か、耳か、匂いか、情報か、あるいは脳?
実際の楽器を見て、触れて、音を出したとき、あなたの知覚は何を感じるか。
ご来場お待ちしております。